面会制限のある病院に入院した方が、面会制限に疑問を感じ、退院時の意見箱に意見を書きました。それとともに、病院に対して病院長宛に丁寧な手紙を書いて面会制限の解除を訴えました。それによって、その後病院より同様の意見をもらっているとのことで、面会制限を一部緩和したとの返事をもらっています。以下にその方の手紙に込めた思いを投稿していただきました。画像は意見箱の意見と手紙の写しの写真です。ぜひ多くの方々が、同じように病院に当事者として要望を伝え、みなさんひとりひとりの力で、理不尽な面会制限をなくしていきましょう。
私は小学校に勤務しており、コロナ禍、子どもたちへのマスクの強要や黙食に心を痛めてきました。管理職や教育委員会に訴えましても、保護者からの声がないことで取り上げてもらえませんでした。その経験から、今回、ちょっとした手術を受けるため自分が病院にかかったことで、学校を病院に、家庭を患者に置き換えて考えました。今年、2024年の初秋のことです。 入院前の説明では、「コロナ感染予防のため面会は禁止です」と言われ、看護師さんに「手術で不安な時、家族に会えないなんて悲しすぎます。面会制限の解除を検討してもらえないか、上の方に伝えてください」と素直な気持ちを伝えました。帰りに、「ご意見カード」にも面会制限解除のお願いを書きました。 入院前に病院に電話して確認すると、制限の解除とまではいかないものの、緩和された事がわかりました。知人も電話してくれたのですが、他にも同じ要望があり、医師の中にも面会制限に反対している人がいると言われたそうです。それを知り私は、希望を失ってはいけない、と勇気をもらいました。 過剰な感染対策や非情な面会制限をいつまでも続ける病院に嫌悪感さえ抱いていた私ですが、いざ入院してみるとスタッフの皆さんは温かな心を持った優しい方ばかりでした。患者さんの役に立ちたい、そんな尊い志を持って医療従事者になられたのだと思います。実際、面会制限しなければいけないことに葛藤を抱えている方もいるように見受けられました。 だからこそ、患者である私が声を上げよう、小さな声かもしれない、響かないかもしれない、でも声をあげなければ何も始まらない。そしてその小さな声が集まれば、いつしか大きな声となり社会に響く日が来る。そんな願いを込めて、面会制限解除をお願いする手紙を書きました。 面会制限により寂しい思いをされている患者さんやご家族、大切な方との最期の時間を奪われたご遺族、矛盾と葛藤を抱えている医療従事者の方、あなたの声を届けませんか?
臼井まゆ(仮名)
(以下手紙の全文) ○○病院 院長○○○○様 前略 貴院、形成外科の○○先生の下で、十月○○日に○○腫瘍摘出手術を受けました○○○○と申します。 おかげさまで、無事に手術が終わり、本日退院となりました。入院中は病棟の看護師の方々にとてもよくしていただき、快適に過ごすことができました。 貴院で温かく手厚い医療を受けられましたこと、心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
ところで、入院を体験した患者として、あらためてお願いがあり、お手紙差し上げる次第です。 貴院は面会制限とマスク着用のお願いを続けておられますが、解除をご検討いただけないでしょうか。 新型コロナの感染が拡大すると、重症化する患者さんが入院されていることは承知しております。 しかし、社会ではすでに通常に戻り、大半の人が素顔で支障なく生活しています。そのような状況で病院の中だけ、面会制限やマスク着用を続けても感染対策になるとは思えません。
なにより、術前術後、長期入魂、重い病気を抱えておられる患者さんは、家族や知人と自由に会えないことで心細い思いをされているのではないでしょうか。 私自身も手術前、そして麻酔から覚める時、痛みを感じた時、とても不安でしたが、そばに家族がいて、手を握ってもらえたことで、不安が軽減され、支えられました。 私は小学校に勤務していますが、少し前に一年生の児童が、他院に一週間入院しました。面会制限のため夜、家族は付き添うことができなかったそうです。 夜中、静まり返った病棟で機械音や他の患者さんの唸り声が聞こえる中、その子はどれだけ心細かっただろうかと思うと、涙が出ました。
(中略)
入院させていただき、貴院のモットーである「人道・博愛・奉仕の精神」が根付いていることを実感致しました。 面会制限とマスク着用の解除についても、ぜひとも人権尊重の観点から、ご高配くださいますよう. 切にお願い申し上げます。 不鮮なお手紙、どうぞお許しください。 今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。
草々